気まぐれで、デキるおじさまの話を聞いてみる
転職することにした。
ほんのり田舎の町から大きな街に引越し。周りの建物が皆のっぽで
道に迷うと何を目指して帰ったらいいのかわからない。心なしか、
道行く人の表情も違って見えて、「はぁどうもおつかれさまです」
という気持ちになる。
とりあえず、公立の図書館で利用者カードを作った。
極端なんだなぁ
新しい仕事を勉強できる本を数冊。他に、今回の本を借りてみた。
私は、初対面の人とオフィシャルに距離を縮めるのは苦手じゃない。
気のおけない友人とは、連絡頻度が何年かに1度(!?)でも近いまま。
でも、その中間が上手くない。浅いか深い、ノリが極端なのかしら。
けれども、新しい職場では人の上に立つことになる。
思いつき、生産的コミュニケーションを学べそうな本を借りてみた。
『ホンダ流ワイガヤのすすめ』
「ワイガヤ」と呼ばれて有名らしい、ホンダのミーティング手法を
紹介する本。著者の本間さんは、ホンダFITの開発で責任者を務めた
方とのこと。メディアで何度か取り上げられた、名のある方らしい。
私は「デキるおじ様」通じゃないし、自己啓発本やハウツー本も好
かない。でもこれは面白かった。
思い立ったが吉日?…それは違うか。
いくつか「なるほどね」をご紹介。
ダイバーシティ
いい収穫のある(新しい価値を生み出す)意見交換には、テーブル
の周りに異質な人を集めること、だそう。
ひとりで100%の役割をこなせる人間はいないし、視野・傾向が
偏ってしまっては良くないから、いろんな目を置いておこう、と。
専門・性別・価値観…選別しすぎず、色々なタイプの人を混ぜる。
数字より、自分の考え
十分なデータをよく集め、分析をしながら管理することは、
プロジェクト推進において重要。けれども、クリエイティブである
(価値を創造する)ために必要なのは、マーケティングよりも自分
の考えなのだそう。
「私の考えでは…」という発言は、論理的には聞こえないけれど、
決して軽視してはいけないとのこと。
平凡な考え
「自分はクリエイティブな人種じゃないんだ。」
私は常々そう思いがち。今まで、「評価されるような」突飛なこと
は、してきた覚えがない。
そういう平凡な人の思いつきや考えの中に、クリエイティブの種が
あるというのは、本当だろうが嘘だろうが、是非とも信じたい話。
差より違い
過去や模範例との比較より、理想から目標を決めなさい、と。
できることより、やりたいこと。比較から得る成果なんて、
納得するにはちっさいちっさい。そんな風に聞こえた。
普段のコミュニティ作り
本間さんは、昭和時代とFITが生まれた2000年頃の成功体験から
この本を書いた。時代や組織規模のギャップだろう、彼がワイガ
ヤに勧める場所や、実際にワイガヤしていた場所は、旅館や貸し
会議室と、コストのかかることが前提。
老若男女、誰もが発言しやすい様に、との意図があるのだけれど
この手のミーティングに、どこの会社でもそんな経費が落ちると
は思えない。ましてやワイガヤは、雑談や悪口なんでもござれで
場を温めながら3~4時間を費やすのが理想。
現代ではこれが「非現実的」な会社は多い様に思う。
その分、「社内の人間関係をフランクに作る」というのは納得。
普段から発言することへのハードルを下げておくと効率がいい。
たしかに
多様性がクリエイティブの元、というのはもっともだと思う。
余談だけれど、先日行ったイギリスで、ロンドン訛りコテコテの
アングロ・サクソンなガイドさんが「人の出自も個性も色々だか
ら、ロンドンは本当にいい街なんだ!」と力説していたっけ。
(ちなみにその日の目的地はロンドンではない。)
内発的なものの力
それに、価値創造には「自分の考え」が大事というのも同感。
このところ、自分を強く持っていてアクティブな、面白い人と
よく出会う。毎度「内発的なもの」の強さを思い知らされる。
人が光るのは、やっぱりそこなんだろうなぁ。
(ひとりごと)
本間さんは、ワイガヤの様な場において「近頃の若者は」みた
いな偏見はナンセンスだ、という様なことを書いていた。
ここだけのハナシ(?)、個人的には言葉の端はしから、あぁ
お年頃的にもキャリア的にも、本間さんもそういうことを言い
たいんだろうなぁ、と勝手に感じた。
もちろん、それが事実か勘違いかはわからないけれど。
けれども、この人がそれをしないのは、彼の中には本田宗一郎
さんはじめ自分の理想があるからで、それに向かって努力をし
て来た、且つ結果を出した人なのかなぁ...。
とか妄想している。