kayesque

本と映画と、ときどき音楽 旅と雑多な考えの記録

ぼんさい・びじねすちゃんす? 〜ちょっと笑っちゃう筆者から学ぶ人間術〜

電車内でよく目にする、大小の文字で埋め尽くされた広告。

「私は啓発されないし。」

内心で独り言つ。自己啓発本はどこか詐欺っぽいものだと思っていた。人生初、この手の本を読んでみた。

 

the ART of PEOPLE

今年のGW、一人旅をした。オーストラリアのニューサウスウェールズ州シドニーやブルーマウンテンズのあるところ。

帰りの飛行機まで余った時間に、街中の紀伊國屋書店でかわいらしい表紙の本を見つけた。

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タイトルは、the ART of PEOPLE。「人」術、つまり、人付き合い・人の扱い方のツボについて書かれている。

副題は、「望むもの全てを手に入れるためのシンプルな対人力11個」。

「ポップなデザインの自己啓発本ってありなんだ?」

この類の本は普段読まないのだが、かわいらしい装丁に、内容が気になってつい買ってしまった。

著者は、アメリカ合衆国ニューヨーク生まれ。ソーシャルメディアに明るい人らしい。自分とは違う文化的背景をもつ人の「人間関係」に対する考え方にも興味がそそられた。

 

あらすじ

ざっくりと言ってしまえば、こうだ。

「感じ良く、うまく人付き合いをして、より多くのものを得る方法、教えます。」

 

著者が提案する11のスキルは、以下の通り。

1.自分を知って、人を知ること

2.会うべき人に出会うこと

3.空気を読むこと

4.人とつながること

5.人を感化すること

6.相手の考えを変えること

7.教えること

8.リーダーシップをとること

9.衝突を解決すること

10.人をその気にさせること

11.人を幸せにさせておくこと

 

この見出しから、「へぇ!」とは思わないだろう。そう、当たり前のことが書いてある。でも、あなたはそれを実践できているだろうか。

私がこの本を有益だと思うのには理由がある。この1.~11.に対して逐一、読者が実際に取り組めるよう、付録と課題がついていることだ。

加えて、この本は読みやすいと思う。著者自身の仕事・恋愛・少年時代・家庭のエピソードを通して話が進んでいく。

 

おすすめしたい読者

起業家・営業職

この本の内容を仕事の上で一番ダイレクトに活かせるのは、起業家とセールスマンだろう。著者自身の起業・営業経験を通して描かれているパートが多い。

そうじゃなくても!

著者も書いている。「起業家やセールスマンでなくても、管理職でなくても、オフィスに出勤しない専業主婦の方でも活かせるスキルだから、とにかくトライしてみてほしい!」。

たとえば

・聞き上手になりたい人

・家族や友人、パートナーに対して、モヤモヤ感じていることがある人

・仕事のグループであろうと家族であろうと、規模を問わず、そのグループをもっとうまくまとめたい人

・部下であろうと子どもたちであろうと、「これ、やってくれないかなぁ」と思うことがある人

 

ポイント

著者のキャラクターが面白い

書いてある内容は大まじめだが、クスクス笑えるところも少なくない。失礼だが、著者は少し子供っぽいところがあるかもしれない。

たとえば…

・家族でゲームをしていたとき、子どもに負けたことが悔しすぎて烈火のごとく怒り、家を飛び出してしまう。

・クタクタに疲れた日、ワシントンで評判のすし屋に行こうと思い立つ。店に着いたらその週は営業しておらず、感情のやり場を失って泣いてしまう。

・著者のお気に入りの映画は『フィールド・オブ・ドリームス』。著者の奥さんが、その一番有名なセリフを皮肉的にモジったことで、著者はひどく凹んでいる。

見出しごとに演習付き

各エピソードを読んだ後に、実践のためのガイドラインがついている。

何を、誰と、どんな風に、どの順番でやってみればいいのかが改めて箇条書きになっている。

本文ではストーリーを読むのに集中してしまいがち。ストーリーを読んで腑に落ちたら、今度はあなたの番だ。

自分を知るための2つのツール

私は、小さいころは学校で、就職活動をしている時は方々から、自己分析の大切さを説かれてきた。それもそうだと思うのだが、「自分を知る」なんていうことには終わりがなくて、自分一人で試みるには難儀だ。

この本の付録には、自己分析ツールが2種類ついている。一つは本文に書いてあるURLで、ひとつは本の巻末付録の頭についている。

URLの方では

設問に答えることで、読者の持つスキルで担える、人間関係の中での役割を診断することができる。私の結果では、

①「自分の役割」

②「その役割の具体的説明」

③「そのタイプの人が注意すべき点」

に分かれて診断結果が書かれていた。

巻末付録の方では

9つのタイプについて書かれている計200弱の特徴に対し「かなり当てはまる」~「全く当てはまらない」までの5つから選んだ答えの数字を回答する。回答が終わったらその数字をもとに各タイプに対する自分のスコアを割り出し、自身がどのタイプに該当するのか確認する。結果では、

①「自分のタイプ」

②「そのタイプの具体的説明」

③「度が過ぎるとどうなるか」

④「そのタイプの人がストレスを感じると」

⑤「そのタイプの人が陥りやすい落とし穴」

について書かれている。

 

 

初めて自己啓発系の本を読んでみたわけだが、私は楽しめた。

作者のキャラクターや奥さんとのなれそめを楽しむもよし、自己分析に役立てるもよし、演習を通して対人力に磨きをかけるもよし。

ハッピーな表紙のこの本を手に取ってみてはいかがだろうか。

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 ※当記事の妙なタイトルについては、本の後半を読んでみてください…

 

ちなみに

私のiPhoneはこの表紙の顔を、シドニーの遊園地ルナ・パークの門と一緒に顔認証している。。。

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