kayesque

本と映画と、ときどき音楽 旅と雑多な考えの記録

気まぐれで、デキるおじさまの話を聞いてみる

転職することにした。

ほんのり田舎の町から大きな街に引越し。周りの建物が皆のっぽで

道に迷うと何を目指して帰ったらいいのかわからない。心なしか、

道行く人の表情も違って見えて、「はぁどうもおつかれさまです」

という気持ちになる。

 とりあえず、公立の図書館で利用者カードを作った。

 

極端なんだなぁ

新しい仕事を勉強できる本を数冊。他に、今回の本を借りてみた。

私は、初対面の人とオフィシャルに距離を縮めるのは苦手じゃない。

気のおけない友人とは、連絡頻度が何年かに1度(!?)でも近いまま。

でも、その中間が上手くない。浅いか深い、ノリが極端なのかしら。

けれども、新しい職場では人の上に立つことになる。

思いつき、生産的コミュニケーションを学べそうな本を借りてみた。

 

『ホンダ流ワイガヤのすすめ』

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「ワイガヤ」と呼ばれて有名らしい、ホンダのミーティング手法を

紹介する本。著者の本間さんは、ホンダFITの開発で責任者を務めた

方とのこと。メディアで何度か取り上げられた、名のある方らしい。

私は「デキるおじ様」通じゃないし、自己啓発本やハウツー本も好

かない。でもこれは面白かった。

思い立ったが吉日?…それは違うか。

 

いくつか「なるほどね」をご紹介。

 

 

ダイバーシティ

いい収穫のある(新しい価値を生み出す)意見交換には、テーブル

の周りに異質な人を集めること、だそう。

ひとりで100%の役割をこなせる人間はいないし、視野・傾向が

偏ってしまっては良くないから、いろんな目を置いておこう、と。

専門・性別・価値観選別しすぎず、色々なタイプの人を混ぜる。

 

数字より、自分の考え

十分なデータをよく集め、分析をしながら管理することは、

プロジェクト推進において重要。けれども、クリエイティブである

(価値を創造する)ために必要なのは、マーケティングよりも自分

の考えなのだそう。

「私の考えでは」という発言は、論理的には聞こえないけれど、

決して軽視してはいけないとのこと。

 

平凡な考え

「自分はクリエイティブな人種じゃないんだ。」

私は常々そう思いがち。今まで、「評価されるような」突飛なこと

は、してきた覚えがない。

そういう平凡な人の思いつきや考えの中に、クリエイティブの種が

あるというのは、本当だろうが嘘だろうが、是非とも信じたい話。

 

差より違い

過去や模範例との比較より、理想から目標を決めなさい、と。

できることより、やりたいこと。比較から得る成果なんて、

納得するにはちっさいちっさい。そんな風に聞こえた。

 

普段のコミュニティ作り

本間さんは、昭和時代とFITが生まれた2000年頃の成功体験から

この本を書いた。時代や組織規模のギャップだろう、彼がワイガ

ヤに勧める場所や、実際にワイガヤしていた場所は、旅館や貸し

会議室と、コストのかかることが前提。

老若男女、誰もが発言しやすい様に、との意図があるのだけれど

この手のミーティングに、どこの会社でもそんな経費が落ちると

は思えない。ましてやワイガヤは、雑談や悪口なんでもござれで

場を温めながら3~4時間を費やすのが理想。

現代ではこれが「非現実的」な会社は多い様に思う。

その分、「社内の人間関係をフランクに作る」というのは納得。

普段から発言することへのハードルを下げておくと効率がいい。

 

たしかに

多様性がクリエイティブの元、というのはもっともだと思う。

余談だけれど、先日行ったイギリスで、ロンドン訛りコテコテの

アングロ・サクソンなガイドさんが「人の出自も個性も色々だか

ら、ロンドンは本当にいい街なんだ!」と力説していたっけ。

(ちなみにその日の目的地はロンドンではない。)

 

内発的なものの力

それに、価値創造には「自分の考え」が大事というのも同感。

このところ、自分を強く持っていてアクティブな、面白い人と

よく出会う。毎度「内発的なもの」の強さを思い知らされる。

人が光るのは、やっぱりそこなんだろうなぁ。

 

(ひとりごと)

本間さんは、ワイガヤの様な場において「近頃の若者は」みた

いな偏見はナンセンスだ、という様なことを書いていた。

ここだけのハナシ(?)、個人的には言葉の端はしから、あぁ

お年頃的にもキャリア的にも、本間さんもそういうことを言い

たいんだろうなぁ、と勝手に感じた。

もちろん、それが事実か勘違いかはわからないけれど。

けれども、この人がそれをしないのは、彼の中には本田宗一郎

さんはじめ自分の理想があるからで、それに向かって努力をし

て来た、且つ結果を出した人なのかなぁ...。

 

とか妄想している。

 

(リンク: ホンダ流のワイガヤのすすめ 大ヒットはいつも偶然のひとことから生まれる

遠藤周作って思ってたんとちがう。クセが強めの人生応援本

昔からエッセイが苦手だった。

はじめて1冊読み切った随筆かもしれない。

 

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『ぐうたら人間学 狐狸庵閑話』

上野まで、電車で約2時間。道中読むつもりだった本を忘れた。

往きは、流れる車窓をただ眺めて考え事をする。

そんな時ほど掘り出し物の思いつきに出会うこともあるけれど、

帰りもそれで計4時間では、ただの「ボーッとした人」だ。

上野駅で電車を待つ間に本屋へ。

気分屋の私にも読める短編を探すけれどピンとくるものはない。

 

そしてこのタイトル。

かねてから探している古い映画は『ぐうたらバンザイ!』。

ニュー・シネマ・パラダイスアルフレードが出ている。

棚の間を行き来するうちに目に入ったタイトルに惹かれる。

この私にはぴったりじゃないか…。

名前だけ知っていた遠藤周作という作者も、日本人なら一度は

読んでおいたほうが良いハズ

 

買う本間違えた?

読み始めて、買う本を間違えた思った。

作中で言及される『沈黙』という作品は、映画にもなった世界的

有名作品。映画化の話は南米コロンビアの友人から聞いたほど。

この人は、何やら難しいことばかり書いているのだろうと

勝手に思っていた。

…どうも様子が違う。

 

しょうもないけど真面目な人生応援本

前半は下のネタばかりで、それこそ途中で著者自ら、

ちょっとここからいい加減に下ネタ控えます、みたいなことを

書いている。電車を降りたら速攻古本屋に行こうかと思った。

ダジャレ頻出、ツッコミどころ満載。思ってたんとちがう。

でも読むうち面白くなってくるやっぱりすごい作家なのかなぁ。

「これだから女は」みたいな言い回しが多いのだけれど、そこは

時代によるところもあるだろう。

 

ぐうたらを披露し、ぐうたらに寄り添う

この本では、フランス留学中や取材先でのストーリー、

友人たちとのエピソード等々が語られる。

著者はこう言っている。

この本を読むのは人生の哀歓を多少でも噛みしめたお方に限る。

(亭主族の哀しみ より)

洒落を散りばめ、ぼやきながら、世の愛すべきぐうたらにエールを送る。

 

ユニークな切り口からキリスト教を覗く

下ネタ・駄洒落に溢れたこの本で、私にとって一番面白かったところ。

それは、一作家のホンモノの一人称で語られるキリスト教

ノスタルジックな日本風の日常の中に覗き見る事ができる。

彼にとって、信仰は日常の一部。

 

遠藤周作は、洗礼を受けて信仰をもった作家。

『沈黙』も長崎でのキリスト教史に興味を持って生まれた作品。

日常的にいかなる宗教とも接点が少ない私には、この西洋由来の

大宗教がこんな風に語られる本は新鮮。

 

慣れ親しんだ日本文化のなかに素朴な語り口で描かれる。

「敬虔なキリスト教徒がこんなこと言う??」

きっと、教科書や学問書では出会えない姿に驚く人も多いはず。

 

 

"野鳥の会会長"の悪い遊び

同僚から「野鳥の会会長」と呼ばれている。

 

会社は駅至近。正面に森がある。

そこにペリカン風の大きな野鳥が引っ越してきて、2ヶ月ほどになる。

当社では、ちょっとした鳥ブームが巻き起こった。

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ぱぱらっち

基本的に、会社でのなれ合いはいらないと思っている。

きっちり仕事をして、さっさと帰ろう。

ベターな職場環境にはコミュニケーションも大切だけれど、それで

いつまでも手が止まっているのなら考えた方がいい。

内容が他人のゴシップや悪口ならなおさら、非生産的なわけで。

 

世間はパパラッチであふれている。会社、教室、多分ご近所にも。

誰が得するのかしらん。誰が純粋な思いで楽しめるのかしらん。

そこへトツゼン珍妙な鳥が来たものだから…。

 

ペリカン・ヘルシー

平和的手段で、社内の話題をヘルシーに。

会えばいつも話しかけてくれる、すこぶる関係良好な同僚がいる。

彼女が愚痴を始める前に、ペリカンを差し込んでみた。

社内の話題置換作戦のはじまり。

野鳥の認知

「今日、木のてっぺん見ましたか⁈ペリカンみたいなの居ますよ!」

1週間、会う人会う人に、野鳥の種を撒く。

嬉々として野鳥速報を報じ続ける私は、同僚にどう見えたろう。笑

真面目なアホ

この運動と、群の拡大による鳴き声で、野鳥は十分に認知された。

「きやつらは、アオサギじゃなかろうかと思っているんですが、

○○さん、どうでしょう?」

「似ていると思ったら、サギはペリカン目なんですねぇ。」

「写真を見たスイスの友人は、コウノトリだと言っています!」

アホみたいな話を大真面目にやっているうち、輪が大きくなった。

 

まさかの大反響

結局、ペリカンは青鷺だった。一羽のアオサギにはじまり、家族が

来て、白いサギが来て、グレーの鳥も来た。

大所帯になったものだ。

 

一方、当社の野鳥の会。部署を超えるどころかグループ会社の

社員も入会(?)している。

大所帯になったものだ

 

始めて2週間ほどで、会話に私がいなくても鳥の話題で盛り上がる

ようになった。会社の外でも話しているようで、

「昨日、友達からサギのTV番組をやっていると聞いて観たんです。

サギの生態としてはですね…!」と、ある同僚は教えてくれた。

 

サギよ、よくぞ(小声)

相当数の鳥が住みついてしまった。

近隣住民はその鳴き声とニオイに生活を乱されていることだろう。

誠に遺憾、困ったことこの上ない。

 

でも、これはちょっとすごいことだとも思うわけで。

ふいに一社員が放った珍妙な野鳥の話題が全社を飛び回る。

一種の職場環境改善?とは言えないか。照。

 

誰も傷つかない、くだらない鳥話がみんなを笑わせる。

こういうの、好きだなぁ。

香港・マカオも歩いてなんぼ。

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したたかに大型連休を手配

事務系職種で働く今は、できるだけ年に1度海外に出たいと思っている。

週休2日の会社なのだけれど、今年は毎週6日出勤していたしウズウズ。

思い切って、GWを分断する出勤日2日間、振休をとってやった。

目立たないよう申請を出し、9連休を確保。しめしめ。

すこしチクっと言われたけれど、休み前に仕事はちゃんと片付けた。

プライベートの充実と仕事の充実は、持ちつ持たれつだもの。

 

香港・マカオ、神奈川

連休後半は、神奈川の三浦で日本を訪れた友人の連れ兼通訳をすることになった。

前半はどこにしよう、日で楽しめる海外…

最近中国語圏の友人も増えたし…英語で旅行できるのは

こりゃ香港だな。せっかくだからマカオへも足を伸ばそう。

と、香港・マカオ旅がスタート。

 

なんにせよ、人類と人類だもの

ところで私は、アジア人でありながら、アジア人が見分けられない。

一方、カナダや中国、パプア出身の友人たちはアジア人をパッと見分ける。

あの能力はなんだろう。

 

たとえば行きの飛行機でお隣だったおじさま。

服装から日本人に見えた彼は、CAさんに向かって左手人差し指を高々と掲げる。

「チャ (茶)~」と注文するのを聞いてはじめて中国の方だとわかった。

(友人曰くチャーは中国流で、香港流ではない。)

帰りの飛行機では、全身黒い服装でクール系メイクのお姉さんのお隣に。

「飛行機の上は日本じゃないから」と、英語で軽く挨拶して席につく。

彼女は日本人だった。

 

まぁ、誰がどこの人だろうと、世界中で人は一対一なわけだから。照。

 

わが健脚は最高の移動手段

ひとり旅では、できるだけ歩きたい。

土地の暮らしにズームアップして、そこの空気を味わえる気がする。

スマホは万歩計にもなるから、歩数稼ぎも気になるところ。

前年のシドニーでの自己記録に届かなかったのが悔しい。

 

日本でスマホにオフライン地図を入れ、各目的地にピンをたてておく。

ふらふら寄り道しながら、日毎に色分けしたピンを回りきるのがミッション。

道すがら、道端でパフォーマンスをしているおじさんを発見。

輪くぐりや、金属の器を投げて頭上に重ねる芸(?)など、

成功するとおじさん自らホッとして見せるのがなんとも言えない。

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とはいえ、公共交通も醍醐味の一つ

今回も「土地のもの体験したい病」を発病し、色々乗ってもみた。

長距離移動や、ローカルの移動手段を体験したいときには電車。

路線の端から端まで町並みを眺めたいときには、バスやトラムも良い。

マカオへはフェリーに乗り、往復・発着すべて別の4ターミナルで乗り降り。

特急列車を含むこれら公共交通は、フェリーを除きオクトパスカード

というSuica的なもの一枚で乗れてしまったからまた便利。

 

九龍の歴史博物館で、香港の地形に関して8分のビデオを観たのだけれど、

フェリーなら都市と自然が共存するその力強い地形を横から見られる。

路面電車だけアナウンスがなくボケーっと乗ってはいられなかったけれど、

風を感じて島の端から市街地まで見て回れるのが楽しい。

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日本とは違うゲストハウスで、「海外」体験

香港は治安がいいというし、駅のすぐ隣だし、安いし。

海外旅行では自身初、ゲストハウスに泊まってみた。

 

受付の青年は、爆音で戦闘系スマホゲームをしながら不機嫌そうに

案内してくれた。言われた部屋に行くと、私のベッドに誰か寝ている。

自分の本来のベッドにも先客がいてここで寝るよう言われた、

現状は上段の別のベッドしか空いていない、と。

原則ベッド変更にはペナルティがあるけれど、彼女の先客は外出中で

しょうがなく残りのベッドを使う。

 

すると、満室のはずなのにもう1人のゲストが。

そのゲストは、寝られないので受付に申し立てに行ってしまった。

私も、3晩平穏に寝たかったから先客を連れて受付に戻り、

事情を説明して無料で新しいベッドをもらった。

受付のゲーマー青年は、今度はよく話を聞いて、ソーリー、ソーリーと

言いながらスムーズにベッドをくれた。

でも、このベッドにも先客。疲労困憊だし上段は嫌いで登りたくない、

場所を交換してくれないかと言うけれど

もうトラブルは嫌なので、交渉して正しいベッドに退いてもらった。

 

色んなところに行ったけれど

寺院、要塞、公園、墓地、博物館、市場、海、地元の肌着店、乾物屋

色々まわってみたけれど、印象に残るのはモノより感覚だった。

 

公園に突如現れる謎のアニメのモニュメント、日本では聞かない鳥の声。

日本と同じチェーン店や車が溢れる街で、

竹で組んだ足場を使ってビルを補修する人たち。

「財布を盗まれた」と路上に座り、通行人から小銭を集める旅行者。

列の割り込みやベッドの先客も、日本では滅多にない体験。

 

そして、彼らが行き交う高層ビルだらけの通りは、別の行政区域まですぐの海と、

長い年月をかけて垂直にまで曲がった地層を含む高い山に囲まれている。

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「よそ者感」

脈絡なく色々と書いて来たけれど、香港もマカオも居心地がいい。

この心地よさは、治安の良さに加えて自分の「よそ者感」のなさにある。

 

世界中から人・文化・宗教を受け入れる香港には、ダイバーシティを感じる。

信号機の音や交通標識は、シドニーのものに似ていた。

過去、英国の植民地だった当地では、中国系・英国系文化が折衷している。

街ですれ違う人たちのルーツは、それに限らず多様。

通行人に道を聞けば、子どもを含め比較的多くの人が英語を話す。

もちろん広東語や標準中国語しか話さない人も沢山いるけれど。

 

マカオは、中国系文化とポルトガル文化のいいとこ取り。

中国を筆頭に世界中から人を受け入れているだけあって、訪問者にも寛容。

アジア顔は特に馴染みやすいのか、割とみんな中国語で話しかけてくる。

こちらは中国語が全然わからないのだけれど。笑

 

ハイセンスな買い物なんて

最終日、友人の友人とどうにか落ち合って食事をした。

何となく決めた旅先だけれど、新鮮な経験というのはおもしろい。

自分へのお土産は、ティーカップに花が咲くジャスミン茶と南京錠。

南京錠は持参したものが壊れたので、宿で使う用にマカオで買った。

 

来年は、どこへ行こうかな。

 

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わかりやすくて、ちょっと可笑しい

「え、もうこんな時間((((;゚Д゚)))))))」とか「もう◯月⁈」とか、

誰かが言うのを聞いたり、自分で思ったりしたことがあると思う。

 

人は、ある時点にくると自分なりの意味を感じて焦り出す。

かくいう私も昨日(6/1)思った。

「もう6月?つい先日今年が始まったばかりなのに!」

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迫り来る水無月

6月、この月が過ぎれば、今年の折り返し地点。

大きい事とは言わない、「1年」の間には、何かしら成し遂げたい。

そう思っている私にとって、水無月の到来は大ニュースだった。

 

ちょっと待てよ、

6月を迎えて驚いた次には、別の考えが浮かぶ。

「どうして私は6月に焦っているの?」

1年を12に、1日を24に。この区切りは人が勝手に作ったわけで。

その物差しは気に病むべき程に必然なのか。

 

一連のものを区切って生きている

地球がぐるっと回ると、日が昇って、沈んで、月の時間。

しばらくしたら、次の朝が来る。

たしかに「一日」という概念は目に見える。

 

でも、私たちは1日をもっと細分化して生きている。

1日を24時間に、1時間を60分に、エトセトラ、エトセトラ。

「一日」という1本の直線に目盛をつけて数直線にすると、

途端に現在地がわかりやすくなる。

 

数字に見えるものだけではない。

たとえば仕事で長文メールを書くときは、改行して、行をあけて

一息に書いても内容は変わらないけれど、見やすくなるから。

 

わかりやすくて、ちょっと可笑しい

世の中には「便宜上」定義されたシステムが多い。

私たちはそのシステムの中で生きているから、それを基準に

焦るのは当然といえば当然。

でも、そのとっておきの便宜的システムに自ら結構な度合いで

影響されていることを改めて思うと、なんだか可笑しい。

自分のしっぽを追いかけて回転する猫の姿が思い浮かぶ。

 

大真面目なのだけどね。

時間の量をはかる時や分や秒も、

価値を数字ではかるお金も、

重さや距離を表す単位も

人は、目盛り・区切りを持つことで、一連のものごとのうち

自分自身、あるいは自分が今話題にしているものの現在地を知る。

その「便宜上」ができるのは「人類ならでは」でもある。

けれど同時に、自分たちで作ったものさしに翻弄されて生きている。

 

それは、ふと主体を離れて他人事に眺めると

なんだかコントみたいでちょっと可笑しい。

 

とか、思うことがある。

侮るなかれ、北杜夫のファンタジー

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これが物語の作者の言葉か。

 

わたくし、つまり小説家キタ・モリオは、これから船乗りクプクプの物語をかく。

よみたい人はよむがよかろうし、よみたくない人はよまないがよかろう。

(クプクプとは何者か?より)

 

開いたそばから北杜夫

原色っぽい表紙に圧されて、買ってしばらく手を出さなかったこの本。

小説の中でもうひとつの小説が進行するユニークな本なのだけど、

北杜夫ワールドに溢れていて、読んでいる間中、わくわくする。

ゆるゆる、いかにもテキトーそうな口調で、テンポよく物語が進む。

 

船乗りクプクプの冒険

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勉強が苦手で宿題ギライなタローは、海が好きな男の子。

本屋でキタ・モリオ氏が書いたベラボーに安い本を買ってきた。

手につかない宿題を早々にほっぽり出してその本を読み始めると、

それは2ページの本文とあとがきしかないトンデモ小説。

パラパラやっているうちに、物語の世界に吸い込まれてしまう。

おまけに「お前は主人公クプクプだ」とかいうことになり、

時代も場所も設定がメチャクチャな世界で航海に出るハメになる。

 

おろすはあげるでチビは大きくて、やせは太ってる

登場人物はみんな天然ボケみたいな人ばかり。

機嫌がいいとニコニコしてパチパチと手を叩く気分屋の船長が

なんとも言えずかわいい。

作中には北杜夫の化身、キタ・モリオが出てくるのだけれど、

この人こそが、小説を本文2ページ書いて逃げ出した張本人。

豚とニワトリを追いかけたり、オサルのカゴヤだホイサッサを

踊ったり、ドドンパを踊ったりするおかしな小説家。

 

ちなみに、このお猿のカゴ屋の歌。

私は世代的に馴染みがないのだけれど、遠藤周作

『ぐうたら人間学』にも登場する。

この本で、以前の私の遠藤周作像は崩れ去った。

 

子ども向けで大人向け

解説も含めて子どもが楽しめるように書かれているのだけれど、 

メチャクチャに進行する物語の中に、ふっとすごく大事な

ことが書いてあり、「そうだよなぁ」と思わせる。

 

なにかを覚えていても、頭のいい証拠じゃあない。その知識から自分でくふうして、応用ができる人が頭がいいのだ。

(この船はどこへ行く? より)

 

”けがの功名”ということばが、なんのことかわからない人たちは、メンドくさがらずに、字引きをひいてみるといい。

(すごいあらしがくる より)

 

忘れた頃にキタ・モリオ

快調に読み進めていると、頃合いを見計らってキタ・モリオ氏が

介入してくる。この作中の小説家は、ダメダメでだらしがなく

弱虫なキャラとしていい味を出している。

 

一方で現実の北杜夫氏も小ネタを忘れない。

小柄なクプクプが、レ・ミゼラブルのガヴローシュをも思わせる

勇気を振り絞る場面。ロープを切ろうと取り出したジャックナイフ

は刃が容易に開かない。

みると、「とびだしナイフはいけません警視庁」との彫刻。

これをやっとのことで開くと、実は児童保護

委員会推薦の安全ナイフで、切っても切れない。

 

北杜夫ファンタジーを侮るなかれ

子ども向けだと侮るなかれ。一度読み始めたら止まらない一冊。

童心に返ってわくわく読み進めながら、時々ハッとする。

何度も出てくる「土人」という言葉に、現代のモラルから疑問を

感じつつ「昔の本だからな〜」と読んだけれど、北さんはそこも

ちゃんと分かって書いていた。見た目や固定観念で人を判断する

ことの危うさに関する、北さんからのメッセージだった。

 

個人的には終わりが少し物足りなかったけれど、

時代と世代を超えて愛される北杜夫を、また少し好きになった。

 

(リンク: 船乗りクプクプの冒険 (集英社文庫) )

勉強はしない?自力でTOEICの点数を3桁UPさせるおすすめ英語習慣。

なぜなのか。

 

高校卒業後、何年も放置していた英語。

今や、プライベートのやり取りは50%以上が英語だ。

ここ1年ちょっとで、気がついたらTOEICスコアが120アップしていた。

自分の世界が、ちょっと広がる話。

 

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100% メイド・イン・ジャパンの会社員

留学も海外旅行も経験せず、フツーの会社員になった。

大学の専攻も就いた仕事も、英語とは無縁だった。

それが、気がついたら日本語と英語半々の生活をしている。

英語で会議もするし、ちょっとした翻訳の仕事をすることもある。

 

Web曰く、ビジネス英語はTOEIC700〜とか800〜とか。

英語に取り組んで1年ちょっとの今、私のスコアは850。照。

英語系記事のライターには、「満点!」とか「バイリンガル!」

とかいう方が多いから、成績を晒すのは恥ずかしいのだけど。

 

でも、『純国産の会社員、大して頑張らずに英語を話せるように』

というのは、自分もびっくり、少し面白いと思ったわけで。

悩める誰かの役に「うっかり」立てたら、素敵なラッキーだと思う。

 

飛行機 乗ったら壁崩壊

きっかけは2年半ほど前。

販売職から、連休のある事務系職種に移った。

初めてのGWだもの。無駄にできない。

 

不安にうち震えながら、1人で初めての海外に行って来た。

旅先のフィリピンには人懐っこい人が多かった。

行きの飛行機から、色んな人に話しかけてもらった。化石英語でも

何とか会話になる。英語を使うことのハードルが一気に下がった。

「せっかくだから、ちゃんと勉強しよう」と思い至る。

 

この時で連絡先を交換した現地の人と、メールが続いている。

病は気からとか言うけれど、語学もメンタル案件なのかも。

 

「勉強」は続かない

帰国後しばらくは、意気込んでいた。

「本で勉強してもアウトプットは身につかない」とか

「上達したかったら英語圏に出ろ」とはよく言われることだけれど

移住する度胸はないし簡単に仕事を辞められる歳ではない。

でも、どうせなら、英語を使える様になりたかった。

 

数日に1度メールをして、時々英語のニュースを読む。

教材も用意して、「勉強」しようとしていた。

続かない。忙しいもん。

 

 

自分の回りだけ英語圏化する

一つ、思いついた。

英語圏に住めば上達するなら、英語で生活すればいいわけで。

仕事以外の時間なら意外とできる、自分の回りだけ英語圏化。

 

まず、日本語が通じない友だちを作って、コミュニケーション。

ネット社会の今、スマホ1台で世界中と繋がれる。他愛もない

会話が、いつの間にか英語力を鍛えてくれる。

 

そして、同じ内容なら、読む・観る・聴くを英語のものにする。

日々のニュースや、娯楽のための動画・音楽に、英語のものを

選ぶ。ネット上には、様々なレベルに合うものが転がっている。

 

これを始めて1年ちょっとで何となく変化を感じた。

試しにTOEICを受けてみたら、以前のスコアより120上がっていた。

 

英語圏創出

「自分の周りだけ英語圏」状態のつくり方をサクッとご紹介。

言語交換

 これは、自信がないうちからとっつきやすい。

 学習対象の言語がネイティブレベルの日本語学習者と、文字通り

 言語を交換する(添削し合う)。

 

 Web上には言語学習サイトがごまんとあるけれど、使える英語を

 身につけるには、「やりとり」することが必要だと思う。

 PCならLang-8やbusuu、スマホならHelloTalkなどなど。

 (参考: HelloTalk - Talk to the World )

 

 ここで結構友だちができる。他愛もない会話を添削つきで楽しみ

 関係を築いたらLINEやSkype、WhatsAppに移るパターンが多い。

世界中の人が集まるサービス

 変なスマホアプリがある。Slowlyという「文通」アプリ。

 互いの距離によって手紙(メール)が届くまでの時間が変わる。

 

 プロフィール写真も必要ない低ストレス系 アプリ。

 「イイね」コレクターはいない(そもそも機能がない)し、

 「友達コレクター」も少ない。アプリは日本語非対応だけれど、

 世界中から英語を話す人が集まっている。

 (参考: SLOWLY - Write a letter to the world! )

英語の記事・動画・ラジオ

 映画やYoutube動画は英語で観る。

 自分のレベルとコンテンツの内容によって、日本語字幕、英語字幕、

 字幕なしを使い分ける。

 ニュースや話題は英語の記事も併せ読み。異文化的な視点に触れる

 こともでき、視野が広がる。

 音声だけの配信サービスなら、家事をしながらでも使える。

 例えば、スマホでPodcastsを流しながら洗濯を干すとか。

 

結局、一番の近道はコミュニケーション

この1年ちょっとで、少しづつ日常に英語を取り入れてきた結果、

世界中に友達を作って、好きな時に好きな事を話すのが一番らしい。

 

英語は数学や理科・社会と違って言語だから、気の合う相手との遊

びが練習になる。友だち付き合いの言語を英語にするだけで、へら

へら笑っているうちに上達する。

 

ネイティブか否かは関係ない

相手が英語のネイティブでなくても全く問題ない。

私たちにとって、日本語を説明するのが難しいように、一般人は

母語を直感的に話している。

別の母語と英語のバイリンガルの方が余程説明がうまいこともある。

寧ろお互いに英語がカタコトでも、たくさん話すのがいいらしい。

 

遊んでいたら、国際的な仕事に手を挙げたり翻訳したりできる英語

が手に入った。

「日本から出られないから英語はな〜」と残念がっている人がいれば

ちょっと試してみてほしい。