kayesque

本と映画と、ときどき音楽 旅と雑多な考えの記録

「バカ」について

向いてないのかな。
何が足りないのかな。
私、だめなのかな。

どうやらそうではないらしい。
面白いタイトルの本を読んでみたので、ご紹介。

自分はバカかもしれないと思ったときに読む本

f:id:kayesque:20171202195214j:plain

基本的に私は、本を「ジャケ買い」する。
ジャケ買い」の使い方が違うとか、言葉のセンスが古いとかは置いといて。笑
今回はタイトルが気に入って手に取った。装丁が割とシリアスなので、「真面目すぎる本だったら嫌だな」と思いながら読み始めた。
読んだ感想としては、「それ、ある...」「確かに」が主。当たり前のことが書いてあるけれど、後半語られる方法論は著者から読者へのエールだと感じた。

 

書いてあるのは

「バカ」を取り巻く社会のメカニズムと、「バカじゃない」物事の捉え方について。あと、ベターな自分になるためのアプローチ方法。
以下、私の納得・共感ポイントをいくつか紹介する。

 

多様性の喪失=バカ化

生物学的な話題として聞いたことがある人も多いだろう。

 同じような遺伝子ばかりが交配すると、種の生存力が落ちる

筆者は、文化でも同じだという。考え方が画一化していくと、社会がバカになる。民主主義と多様性のバランスって確かに難しい。
これは私の意見だけれど、一個の人間の中でも同じだろう。読書や交友関係、趣味の幅が広い友人に会うと、自分の浅さを思い知る。知識や経験を多様化させていきたい。

 

あえて、バカ

エジソンによるとアインシュタインのやり方はバカのそれで、逆も然りなんだそうだ。立場や目標が違えば、バカと利口の定義も変わるということ。
分野を問わず、現代人から「偉人」と呼ばれる人には、彼や彼女の時代に世間に受け入れられなかった人がいる。よく「時代が追いついていなかった」なんて言う。何かを極めている最中の人は、時には世間がなんと言おうと自分を貫くと、後で凄いことになるかもしれない。

 

井の中の蛙

自分の慣れたフィールドの中と、その外とでは、勝手が違う。評価基準も違う。世界Aの天才が世界Bに行った途端バカにされることもある。見方の違う人から指摘されたら、否定する前に考えてみること。
日本人なら皆知っている「井の中の蛙」につながる話かもしれない。小さな共同体で、年齢や立場が上になると、フィードバックがもらえなくなる。そうなるとバカ化が加速する。自分自身を研磨し続けないといけない。

 

見える化する

文章を呼んで意味がわからない時や考えがまとまらない時、それをフローチャートにしてごらん、という話。
これには大賛成だ。中学校の数学で、確率や立体図形の問題を「とにかく絵に書いてごらん」という先生がいただろう。私にとってそのアドバイスはとても役に立った。数学意外にも、幅広く使える方法だから。私は今でも「見える化」の大ファンだ。
新しい仕事は覚えるのと並行してマニュアルを作る。自分の頭の整理にものちの引き継ぎにも効率がいい。スケジュールは紙でもデータでも、入力・記入のレイアウトを揃えて色付けする。一目で分かるのがとても助かる。ちょっとしたことでも頭の中で絵にすると、実際スッキリする。

 

結局、大事なのは目標

バカをこじらせないために必要なこと、それはただ一つ、「具体的な目標を持つこと」。アタマよくなろう!と決意することなんだそうだ。

なんだぁ、結局そこに行くのか…と思わないでもないが、確かにそうだ。

10年以上前から、私自身のセオリーは目標設定とその達成を繰り返し、螺旋状の上昇サイクルを築くこと。どうもそれをすると、効率がいいしなんでも楽しく頑張れるのだ。ましてや「バカを語ってやろう」と思える程の作家先生までそう言うんだから、これはよりよく生きるための鉄則らしい。
進む方向が見えれば、すべきことが見えてくる。目指す度合いが決まれば、ペース配分が分かる。

 

目標の立て方

そうは言っても、ふんわりした「このままじゃだめだ」「こんな感じになりたい」を『目標』に昇華させるのは難しい。私が日頃から悩んでいるのはそこだ。
著者の答えはこう。そのふんわりを、できる限り言語化(あるいは図化)しなさい(要は、書いてみなさい)。そして、時間がかかっても諦めないこと。
著者は、諦めないほうがいい理由というか、諦めないための考え方というか、そういうものも書いている。著者の感覚値的な書き方なので読み手の解釈も様々だろうが、私は共感、納得する部分も多かった。

 

自分の所要時間

結果を出すまでに、自分は大体どのくらい時間がかかる人間なのか。それを知って、目標設定の参考にするといいそうだ。
 努力と成果は比例関係じゃない
著者は言う。達成に時間がかかる目標があって当然なのだ。
私は昔から音楽好きで、ピアノやギターを弾く。練習では大抵、長いぐずぐず期間の後、ある一時点を境に、急に弾けるようになる。自分と目標に合った、バランスの良い根気強さが必要らしい。
私は目標設定は大好きだが、自分の所要時間は知らない。これからはこれも考えてみよう。

 

これは私の意見だけれど…

目標と所要時間に加えて、これをするようにしている。
結果の目盛りを小さくする。
私は諦めが悪いほうだ。取組み始めてからの経過時間も、自分の進捗も、ミクロの目でみる。そうすると、自分が何か得ていることに気付きやすい。「ああもうこれは無理なんだ」「向いてないんだ」と諦めるのが惜しくなる。比例関係で着実に成果が出なくたっていい。

ちなみにこの本を読み進めて行くと、これに似た方法が筆者に否定されている(笑)
みなさんはどう思うだろう。

 

 

全体の印象としては、学生さん、若いうちに一度考えてみた方が良い内容が書かれている。しかし、既に社会人になってしまった私たちでも、行動に移すのには遅くないことばかり。

省みて、見渡して…今日からもっと貪欲にチャレンジしていこうと思う。