kayesque

本と映画と、ときどき音楽 旅と雑多な考えの記録

耳タコだけれども、「聴く」ということについて。

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隠忍自重 

子どものころに出会って以来、そうありたいと思っている言葉だ。

辞書ではこう定義される。 

 

[名](スル)怒りや苦しみをじっと抑えて外に表さず、軽はずみな行動をしないこと。

デジタル大辞泉(小学館) 

 

宮沢賢治雨ニモマケズ』を思い出す。自分自身をよくコントロー

ルして品性を失わない姿勢、美しいと心底思う。 

後半の「自重」が「軽はずみな行動をしないこと」を意味するが、

デジタル大辞泉は加えてこの2文字を「卑下しないこと。自尊。」

「自愛」と定義する。

自重とは、自分を正当に評価し大切にすること。正当な評価には客

観的・俯瞰的な目が必要で、軽はずみな言動は慎まれる。 

 

私の憧れ人格ランキングを作れば、トップに君臨することうけあい。

…でもこれ、聞くとやるとでは大違い。 

「隠忍自重」という言葉を知り、「ついに座右の銘と出会った…!」

と思った。10年以上が経って、会得できずにいるけれど。 

 

きく

相談を受けたり聞き手に回ったりすることが多い。ゴシップに無関

心で口が固い私は、打ち明け話に向くらしい。 

思うに私は、聞きキャラであって聞き上手ではない。

聞き上手は、隠忍自重体得のためにも見逃せない、人類のスキル。 

 

聞きキャラや営業畑の経験もあってか、「きく」を考える機会には

恵まれている。 近頃また、聞き手・話し手の両方面から「きく」を

考える機会をもらった。

 

聞くの?聴くの?

この違いについては、耳にたこができていることだろう。誰もが国

語の授業で習う。ここでは、さっくりとだけ、辞書的意味を確認。 

 

・どちらも、耳で音や声をとらえること。 

・「聴く」と書くときは、その音や声に対してより関心が向けられ

 ている。 (音楽を「きく」のはこちら) 

※「きく」は尋ねることや識別することも意味するけれど、今は割愛。 

 

要は、

「聞く」はなんとなくでもできる。「聴く」はなんとなくではできない。 

私が身に付けたい「聞き手力」は「聴く」スキル。 

(まどろっこしいけれど、「きき手」の漢字表記は「聞き手」です。) 

 

聴く

「聴く」ことは、大切なヒューマンスキルだと思う。 

最近、後悔してしまった会話が2つある。

1つは話し手として、1つは聞き手として。 

反省①

親しい間柄の人と。その人との会話で初めて、時間と体力の無駄づ

かいをした気がして反省した。「無駄」というのはキツい言葉だけ

れど、最短距離の会話ができなかった自分自身を反省している。

そこそこ大事な用件で、お互いに努力して時間を割いたのだけれど、

「意思疎通」の実感がまるでなかった。 

 

相手は、何でも本音で話し合える、いわゆる「気のおけない人」。

いつだって回りくどい遠慮なしに話ができる。

聞き手である相手と話し手である私の間には、文化・性別・仕事・

スケジュール感…たくさんの違いがある。生活の合間を縫うように

会話を持って一度こんがらがった状況。お互い「本腰を入れて」向

き合う機会を設けることで収拾した。

 

でも、私は密かに、多忙の中でも次はもっと有意義な会話にできる

と思っている。こういうセオリーでもって。 

聞き手は固定観念を持たない。 

「こう言いたいんだろうな」と、自分の主観で捉えないこと。固定

観念は、論理的・効率的な会話を妨げる。ありのまま要旨を捉える

ことを妨げる。 目の前のその人は、何を伝えたいのか?

小学校の理科の授業で、はかりは目盛を0にしてから使う様に習っ

た。自分自身に批判的な(チェック機能付きの)態度が肝心。 

話し手は、筋道立てて聞き手の思考を先回りしながら話す。 

理知的で自身に批判的な聞き手でも、お互いよく知る程に「固定観

念0」の壁は高くなる。話を先回りしてよく理解しようとしたのが

裏目に出た時には悲劇だ。論理的・簡潔に話すのは、話し手の腕。 

 

反省②

こちらも親しい人との会話。10年来の気のおけない友人で、ストレ

ートな会話をもてる相手。 他の相手には言えないネガティブやモヤ

モヤもぶつけられる友人として私を見てくれていて、私は聞き役に

なることが多い。

 

その人のモヤモヤを受け止めるとき、私は後悔しがちだ。

100%「聴き」に徹することができていないことを自覚するから。

モヤモヤを彼女の「前進」に昇華する手伝いがしたい一心ではある

のだけれど、つい「提案」をしてしまう。

 

次回はこれでいこうと思う。

まずは黙って聴く

「吐き出したい」話し手に対しては、黙って聴きに徹し、相づちを

うちながら受け止めるのが第一。建設的な会話にしたくても、相手

が今、策の必要な状況にあるのか考える。

策を求められた場合も、提示の分量と方法をよく考える。 

先月にここで紹介した本も、「黙って聴け」と言っていた。 

( 望みを全て手に入れる、人付き合いのツボ? - kayesque  )

話し手は何を求めているのか考えて聴く

今回の会話でその人は、自分の主観に対し、査定とアドバイスを求

めていた。しかし、アドバイスを求める人が「正しさ」を求めてい

るとは限らない。 

昔、別の友人の聞き手になった時、意見を求められてその人の行動

を注意したことがある。彼女は、こう言っていた。 

「それは論理的で正しい。だけど、私は正しい答えを知りたかった

わけじゃない。」 

目からウロコ。正しさが常に正解とは限らない。 

 

聴くということ

今回は「聴く」について、3つを要点に考えてみた。 

固定観念を捨てて聴く

・まずは黙って聴く 

・話し手の求めていることは何か?

私は、あと1年の間には、少しでも聞き手スキルの変化を実感したいなぁ。 

 

 

 ちなみに、画像は記事とは無関係です。

 以前の旅行時に夕ご飯として食べた、いい顔のパイ。

 日本にもお店がありますね、パイフェイスさんです。