kayesque

本と映画と、ときどき音楽 旅と雑多な考えの記録

となりのプーさん?

ハイ アンド ロー。

よくない傾向だ。

 

仕事でストレスを溜めがちな今日このごろ、呼吸だって浅い。

そう↑ ぅっ↓ そう↑ ぅっ↓

 

この3連休も、とてもじゃないが人に会う精気なんてなくて。

たまの帰省で親孝行でもと思っていたけれど、やっぱり無理で。

むしろ徹底的に引きこもった。

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映画の日。かける3。

引きこもると決めたら、映画の日だ。

3連休初日は、午前中だけと決めて外出。

うっかりセルフ兵糧攻め、なんてことにならぬよう、準備をする。

 

日々の暮らしに疲れて引きこもるわけなので、初めての駅まで。

知らない町を散歩しつつ、物資を集める。

眼鏡の調整とか、初めての珈琲屋さんで一杯とかして、帰ってくる。

持ち物の歪みを整えたり、知らないものを摂ったり。

自分を軽く整える。

 

部屋に帰ったら、お茶を用意して。

いざ、PCの前。今この瞬間から、動かざること山の如し、だ。

 

とはいえ私も良い大人で、学生時代のような無茶は禁物。

夜はちゃんと寝ること。

観るのは3日間で20作くらいにしておこう。にやり。

 

プーと大人になった僕

2日目、朝一番に観る映画は決めていた。

なんたって、この映画の主役は、我が人生の師であるプーさんと、

英国紳士役 最適俳優であるユアン・マクレガーなわけで。

どちらも、個人的な「映画観なくちゃ」ランキング最上位層だ。

 

プーのおばかさん

クリストファー・ロビンといえば、"Silly old Bear"のセリフで有名。

100エーカーの森の仲間たちと遊んだり冒険したり、時にはピンチを

救ったりもする、みんなの頼れる存在の男の子。

でも、本作のクリストファー・ロビンは妻子あるおじさん。

旅行かばん製作に心血を注ぐサラリーマン、立派な会社の歯車だ。

 

見渡せば、クリストファー・ロビンだらけ?

おじさんクリストファーは毎日忙しく、上司にも恵まれない。

真面目がたたって、誰よりも愛する妻子に時間を作ることができず、

家族の溝は深まるばかり。

仕事も家庭も大ピンチ、おまけにしつこい隣人もストレスの素。

どうしよう、どうしよう、どうしよう…

そんな時、記憶の奥底に眠ったはずの、くまのぬいぐるみの声…?

 

いこう、100エーカーの森へ

クリストファーは、再会した親友を手伝って、100エーカーの森へ。

うん十年と経っているけど、森のみんなは変わらなかった。

懐かしい森で彼は、かつて自分が親友に教えたことを思い出す。

すっかり忘れていたそれは、とてもとても、大切なことだった。

 

となりのプー

クリストファーはプーを助けたけれど、おかげでクリストファーは

まるであの日のズオウの様な、身を削る日々の濁流から抜け出し、

岸からの眺めを取り戻した。

そういえば、昨日の私にもプーがいたな。

 

その人は、都会に舞い戻って、生活を侵しながら仕事に精を出し

自律神経が少々イかれてきている私を、とある地方に誘った。

ビルもなく、夜になれば街灯もない。人々は自然の近くで等身大の

暮らしを送っているらしい。次の連休で一緒に行かないか、と。

海の向こうの人なのに、なぜか、こういう日本をよく知っている。

 

君はいつも仕事を頑張っているけど、

「なぜ、頑張っているのか」

時には、それを考えた方がいい。

田舎で見つけた、違う生き方を見せてあげるよ。

 

贅沢にも、彼と私がプー師匠とクリストファーに重なってしまった。

休みができたら、そこへ行ってみようか。なにも、田舎暮らしを勧め

られているわけではない。見て、感じて、視点を増やすんだ。

 

いや、大型連休はもったいないから、海外に行っちゃうけど。

 

ありがちだけど、「帰る場所」

映画やテレビでは、まあよくある話なのだけれど。

帰る場所って、やっぱり必要なんだなぁ。

物理的な場所でも、心の拠り所でも、なんでも良いのだけど。

 

プーと森の仲間たちなんて、クリストファーが忘れた「仕事の書類」

の価値なんかわからないのに、どうやらあんまり幸せなものじゃ

ないことはわかるのに、「それが無いとクリストファーがとっても

困る」というだけで、未知の大都会「ロン・ドン」まで届けに駆け

つけてしまう。

 

あと、時々、立ち止まること。

クリストファーは、何もしないことが最高の何かに繋がると言った。

それが本当かはわからないけれど、確かいつかのTEDスピーカーも、

脳が自動運転(考えずにできる「作業」)モードになる時に、人は

いちばんクリエイティブになる、と言っていた。

 

濁流の中、流されない様に全力で泳いでばかりいると、濁った水と

泡で、自分が何のために泳いでいるのか、わからなくなることがある。

時々あがって、岸に立たなくちゃいけない。

 

みなさんの、100エーカーの森は、どこにありますか?