kayesque

本と映画と、ときどき音楽 旅と雑多な考えの記録

中国起承転結 (1)

最近よく質問がありますが、今年のゴールデンウィークは、もちろん

当社も10連休です!

 

1月、勤め先の人事担当者が社内に周知した。

よし。9泊10日で航空券を手配しよう。

 

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ずっと気になっていた中国に行くことにした。ある人を訪ねて。

本土に行くのは初めてのことだし、英語で旅行できない旅先も

プライベートの海外旅行先で1人じゃないのも初めて。

途中ではぐれては困るので、初めて海外にレンタルwi-fiを持参した。

チャットで連絡が取れれば上等、90円/日のプラン。

 

中華人民共和国

世間では色んなことを言われているけれど、実態は良くわからない。

この国出身の友人や同僚は何人もいるけれど、中国国内ってどんな

様子なんだろう。人は、文化は、社会は、どんな所なんだろう。

良く知らない巨大な隣人。はじめましては、大切な人のゆかりの地で。

 

前日も夜まで仕事をしていたから、初日は早朝の電車で空港へ。

上海までは直行便で3時間弱。

あくびしいしい搭乗した飛行機だけど、我慢できずに映画を観て

いる間に着いてしまった。

 

「荷物、それだけ?」

到着ロビーに着くと、連れが待っている。

10日間の旅行の出発地点に、機内持ち込みサイズのキャリーケースと

長財布サイズの斜めがけで現れた私に驚いている。

だって、海外では小回りが利くのが一番。

それに、預け入れた荷物が出てくるのを待つ時間だって惜しい。

 

カウチサーフィン

皆さんは、聞いたことがあるだろうか。

世界中で、宿を探す旅人と、場所を無料で提供しても良いという

ホストを結びつける、国際交流を目的としたサービス。

互いのアカウントの、自己紹介や話せる言語、以前のゲスト・ホスト

による口コミを元に、泊まりたいか・泊めたいか、判断する。

 

連れがこのサービスの利用者で、上海での最初の2泊はこれを使って

あるご家族の家に泊めてもらった。「土地を知るには、そこの人と

交流しなくちゃ」というのが連れの考え方。

このお家はとっても可愛いご家族で、ホストは旅行業界で働くきれい

な奥さん。奥さんは、中国南方の出身。上海に来るまで英語は全く

話せなかったのだけど、この国際都市の夜を飲み歩くうちに友人が

でき、中国国内で英語を身につけたのだとか。

 

旦那さんと娘さんは、少しシャイな感じ。特に娘さんは、知らん人

な上に中国語がわからない日本人に身構えてしまったようだった。

何だか私も彼女もお互いに人見知りを拗らせてしまった。

でも連れは、その娘さんといつの間にか距離を縮めていて。

置いてけぼりで少し妬ける。

 

息子さんは、奥さんに似て物怖じしない様子で、飼っている子亀を

見せてくれた。亀が手に乗り、小さな爪を私の肌に引っ掛けながら

登る感触が、なんだかとても愛おしかった。

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(亀さんもご家族の一員なので、肖像権に配慮します。キリッ)

 

中国のユダヤ人と、上海ユダヤ人街

上海での短い滞在の後、南は浙江省、温州市へ。

温州は昔から、商才に長けた人たちの土地として知られる。今でも

ビジネスをしている人は多いらしく、中国出身の人に温州出の連れ

の話をすると、「お金持ちなんじゃない?」と聞かれることも多い。

実際のところは知らないのだけど。

 

温州人を「中国のユダヤ人」と表現することもあるらしいのだけど、

むしろ上海には、大戦期に本当のユダヤ人難民が避難してきたという

ユダヤ人街とその記念館がある。

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(ここで小さなライオンに出会った)
 

そこで1人、上海のユダヤ人英雄が紹介されていた。

半日軍で中国のために医者として活躍した人だった。彼は、難民と

して上海に渡り、安心できる住まいを得た。土地の人に大変良くし

てもらったから、今度は中国を襲っている"ナチズム"から上海の人

を守る力になろう、と、土地の人と一緒に戦ったのだそう。

 

上海の、東洋と西洋が混ざった街並みはとてもきれいで、日本との

違いや海外独特の不便はそれ程感じなかった。夜、小さな街を歩いた

際も、夜空と赤提灯のコントラストが美しく、まるでそこには魔法が

住んでいる様だった。

日本人は、この美しい国に滞在するのに、短期間ならビザすら要ら

ない。けれどやはり、見るところを見れば、心のざわつく歴史が残る。

現代日本人にはどうすることも出来ないのだけれど、中国で見ておく

べきことの1つだと思う。

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欢迎您

とはいえ旅行中、露わに反日感情を目の当たりにする事はなかった。

日本から中国に対するのと同じく、中国から日本に対しても色々な

ステレオタイプがあると聞く。だから、中国に着く前の懸念事項の

ひとつは、私の「日本人」レーベルがどう作用するのか、という事

だった。

だけれど、見ず知らずの町の人や連れのご両親、カウチサーフィン

のホストのご家族もお店の人も、私が日本人だという事で嫌な顔を

される事はなかった。

今回は連れと一緒だったし、出会う人や運が良かっただけかもしれ

ないが、優しい出会いばかりで、訪れた土地やそこの人を好きにな

らずにはいられなかった。

 

中国の街を歩くと目につくもののひとつに、「ぺ」がある。

特に、中年以上の男性に多いだろうか、道を歩きながら、車の窓

から、ペっと唾を吐く。

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これだけは、10日間の旅行を終えて慣れなかった。アパートの窓

から外に向かってペっすることもあるようだし、新幹線の床にペっ

するのを見たときは驚いた。

連れのご両親はとても優しい素敵な人なのだけど、お父さんはこの

ぺっをよくやっている。どうやら、ぺっをする人のマナーや性格が

悪いのではなく、世代が上の人の文化がそうさせるらしい。

 

(今回、ちょっと記事が長いので、2つに分けます。→中国起承転結 (2) - kayesque